| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-303

同一湿地から放出されるメタン同位体比の時空間変動とその要因

*鈴木希実(東工大・総理工), 木庭啓介(農工大・農), 伊藤雅之(京大・農), 尾坂兼一(農環研), 大手信人(東大・農), 戸張賀史(東工大・総理工), 勝山正則(地球研), 山田桂大(東工大・総理工), 豊田栄(東工大・総理工), 永田俊(京大・生態研), 吉田尚弘(東工大・総理工)

メタンの全球収支を見積もる際に、放出量だけでなく、各放出源から放出されたメタンの安定同位体比の情報を加えることにより、より精緻な見積もりを行うことが可能である。そのため、放出源から放出されるメタンの同位体比の報告例を更に増やし、より正確な代表値を得ることが期待されている。特に、メタンの最大の放出源は湿地であるが、土壌の空間的異質性の高さを考慮し、同一湿地内で放出されるメタンの同位体比の時間的変化だけではなく空間的異質性に着目した報告例は少ないのが現状である。

そこで、本研究では同一温帯湿地において土壌から放出されるメタンの安定同位体比の、同一湿地における時間的変化および空間的異質性を観測し、その異質性の要因を明らかにすることを目的とした。

試料の採取は、2004年3月と5月及び2005年8月に、滋賀県南部に位置する京都大学桐生水文試験地内の湿地において、表層水の流れに沿って設置された九箇所のチャンバーを用い、固定式密閉法により行った。

メタンの放出がほぼ観測されなかった3月を除き、放出されるメタンの炭素安定同位体比には空間的異質性が確認された。特に、5月においては、最大で27‰と大きな差を示した。これは、地温が上がり始めた時期であり、各地点での微生物活性の差が大きかったためではないかと考えられる。

このように、同一湿地内においてもメタンの同位体比は大きな空間的異質性を持つことが確認された。即ち、湿地から放出されるメタン同位体比の代表値を求める際には、なるべく多数の測定点を確保し、放出量により重み付け平均をとることが必要である。

日本生態学会