| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-062

中国黄土高原における在来樹種リョウトウナラと外来種ニセアカシアの細根分布特性

*舘野隆之輔,川路まり(鹿児島大・農),張文輝(西北農技術大),杜盛,侯慶春(中国科学院・水土保持研),山中典和(鳥取大・乾燥地セ)

半乾燥地に生育する樹木の成長は、水が制限になるとともに、窒素などの栄養塩も制限となる場合がある。一般に土壌表層は、植物の生育に不可欠な栄養塩量も多く、樹木の細根は土壌表層に集中することが多い。一方、表層土壌は乾燥ストレスによる細根枯死の危険性が高い。乾燥ストレスが他の生態系より大きい半乾燥地では、細根を鉛直方向にどのように配置するかは、地下資源獲得戦略にとって重要だと考えられる。そこで本研究では、窒素固定を行い養分ストレスが比較的小さい外来樹種ニセアカシアと窒素固定を行わない在来種リョウトウナラの細根の鉛直分布を測定し、地下部資源獲得戦略を明らかにすることを目的とした。

調査は、中国黄土高原のリョウトウナラおよびニセアカシアが優占する林分において行った。その結果、細根量はリョウトウナラ林に比べ、ニセアカシア林で小さかった。光合成速度や蒸散速度などの生理特性や土壌水分特性から、ニセアカシア林では相対的に水ストレスがおこりやすいことを示唆されるが、水ストレスにたいする細根量の増大は見られなかった。

ニセアカシア林では約70%、リョウトウナラ林では約90%の細根が、表層30cmに集中し、細根の表層集中性はニセアカシア林よりリョウトウナラ林で高く、リョウトウナラ林ではニセアカシア林に比べ、養分を効率的に吸収出来るように細根を配置していると考えられた。一方で、ニセアカシア林では深部まで細根を分布させ、水分を効率的に確保しているのではないかと考えられた。以上のように、両種は相対的な水と養分の要求量や利用可能量に応じて、細根の分布様式を変化させて環境に対応していると考えられた。

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