| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-125

河川敷における植食性昆虫によるキク科外来植物の利用様式

三浦和美(京大農昆虫生態)

生物多様性を低下させる要因として、外来種の影響が指摘されている。そのため、生物多様性を維持する対策をたてる上で、外来種の実態や群集への影響の把握など侵入した外来種に関する生物学的知見を蓄積することが求められている。

外来植物が侵入先の群集で繁茂する一因として、近年、植食性昆虫の影響が指摘されている。もし、植食性昆虫が外来植物を在来植物よりも加害すれば、外来植物の繁茂は抑制されうる可能性がある。よって、植食性昆虫の植物利用に関連する多様な要因のうち、どの要因が重要か解明することは、有用であると思われる。

河川敷では、外来植物が在来植物よりも繁茂した結果、河川の景観が損なわれる、又は河川敷固有の稀少な動植物の生息場所が消失するといった問題が生じている。よって、多様性に富む河川敷群集を実現するには、繁茂した外来植物の現存量を低下させることが重要であり、そのために、植食性昆虫の外来植物利用に関与する要因を明らかにする必要がある。

キク科のブタクサ、オオブタクサやセイタカアワダチソウは、北米原産の外来植物で、これまで日本各地で繁茂していることが報告されている。2007年に京都府八幡市で、植食性昆虫によるこれらキク科外来植物の利用様式を調査した。植食性昆虫の寄主植物利用の違いを生む様々な要因のうち、植物の内的な質と天敵に注目した。

主に上記3種の外来植物とキク科在来植物であるヨモギ上の昆虫相を記録した。採集した昆虫は室内飼育して、捕食寄生者が出現するか検討した。キク科外来植物は、ブタクサハムシとアワダチソウグンバイという北米原産の昆虫が主に利用していた。両種にとっての外来植物と在来植物の内的な質と捕食寄生者の違いを検討した結果、内的な質の高い植物がよく利用され、植物種間で捕食寄生者に違いは認められなかった。

日本生態学会