| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-154

種内捕食‐被食相互作用における対抗的表現型可塑性

*井川拓也(北海道大・院・水産科学), 岸田治(京都大・生態研セ), 西村欣也(北海道大・院・水産科学研究)

共食いは多くの分類群にみられる生態学的事象である。共食いがおこる集団では表現型多型がみられることがある。これは、同一の遺伝子型を有する個体の一部が、共食いに機能する表現型(共食い型)を可塑的に発現することによると考えられている。表現型可塑性は数多くの生物で適応的に機能している。例えば、被食者種が捕食者種の存在に応じて防御型を発現することや、捕食者種が特定の餌生物種の存在に応じて捕食型を発現することが知られている。ある種の適応的な表現型可塑性は、それと相互作用関係を結ぶ他種に環境レジームとして作用する。それは他種にとって、表現型可塑性を導く選択圧となりうる。相互作用関係を結ぶ種間での互いに対抗的な表現型可塑性は、捕食‐被食相互作用に普遍的に存在すると期待されている。同種集団内での共食い型個体の出現は、非共食い型個体にとって共食いされるリスクの向上を意味するので、防御形質発現の選択圧となりうる。これは対抗的表現型可塑性のシナリオに一致する。本研究は、共食い型の発現が知られるエゾサンショウウオ(Hynobius retardatus)幼生で、共食い型にならなかった個体が共食いに対処する機能を持つ防御型を発現する証拠を提示する。本研究の結果は、捕食‐被食相互作用での対抗的表現型可塑性が種間だけでなく種内でも生じることを示すものである。

日本生態学会