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自由集会 W17

希少植物の絶滅リスクに影響する遺伝的要因−近交弱勢・自家不和合性・交雑の影響を探る−

企画者: 石田清(森林総研)

我が国の希少植物の絶滅危険性は個体数とその減少率に基づいて判定されているが、遺伝的要因の影響は考慮されていない。しかしながら個体数や個体密度が減少した植物の集団では自家不和合性遺伝子の多様性減少や近親交配の増加、他種との交雑が起こりやすく、こうした遺伝的要因によって繁殖量や生存率が減少し、個体数の減少に拍車がかかる可能性が高い。希少植物の集団を効果的・長期的に保全管理していくためには、このような遺伝的要因を種ごとに明らかにしていく必要がある。また、保全生物学の分野では、こうした遺伝的要因による集団の衰退を回避するための増殖や移植などの管理法も考案されているが、そのなかには遺伝的攪乱や異系交配弱勢を起こす可能性のあるものがあり、最適な保全管理を行うためにはこのような弊害を予測することも重要である。以上の視点にたち、本集会では絶滅危惧種の繁殖や生存、個体群動態に及ぼす自家不和合性・近親交配・交雑・異系交配弱勢などの遺伝的要因の影響を報告するとともに、遺伝的管理の可能性について議論したい。

絶滅危惧種マメナシにおける自家不和合性遺伝子の多様性が種子生産に及ぼす影響 *加藤珠理, 今井淳, 西岡理絵, 向井譲(岐阜大・応用生物)

絶滅危惧種シデコブシにおける交配様式と後期近交弱勢 *玉木一郎(名大院生命農), 石田清(森林総研), 鈴木節子, 戸丸信弘(名大院生命農)

種間交雑による繁殖干渉?:希少樹種アポイカンバの種子生産に対するダケカンバの影響 *永光輝義, 河原孝行, 金指あや子(森林総研)

希少木本種における遺伝的荷重と異系交配弱勢 *石田清, 平山貴美子, 菊地賢, 金指あや子(森林総研)

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