| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(口頭発表) I1-06

樹木個体呼吸の新しいスケーリング

*森茂太(森林総研),諏訪錬平(琉球大),山路恵子(筑波大),A.T.M. Rafiqul Hoque ,萩原秋男(琉球大),S.G.Prokushkin, O.V. Masuyagina,O.A. Zyranova, A.P. Abaimov(スカチョフ森林研),上田龍四郎(北海道ダルトン),大澤晃(京都大) ,宮城健,金城勝(沖縄研森林資源研),石田厚,西園朋広,梶本卓也,千葉幸仁,松浦陽次郎,藤間剛,荒木眞岳,川崎達郎(森林総研),小池孝良(北大), Marjnah Umari(ムラワルマン大学)

樹木は重量で10^12倍に成長し、寿命は数千年に及び、種多様性も高い。さらに、成長特性も多様でもあり、成長特性は森林の複雑な構造や更新機構、階層構造、多様性を決めていると言っても過言ではない。特に成長特性を決める最重要ファクターは個体呼吸である。このため、「個体呼吸R―個体サイズW関係」の研究は「Metabolic Scaling」として生物学上の最重要課題として1世紀近く議論されてきた。しかし、樹木のScalingは確定していない。現在も、「R=aW^b」に関して、Reichは「b=1」を、Enquistはb=3/4として論争は続いている。

そこで、我々は従来測定不可能であった実生〜巨木の「根を含む全樹木個体の呼吸」の測定方法を開発した。赤道〜北極圏の森林植物帯の64種を用い、個体重量幅約10億倍、個体数271個体でRを実測した。R-W関係を「従来式」と「新式」で回帰し、統計的モデル選択を行った。その結果、「従来式」よりも、「新式」を選択できた。「新式」は樹木成長モデルや森林二酸化炭素収支モデルに新たな視点を提案することになるだろう。


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