| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PA2-633

沖縄本島に定着したタイワンハブの生息状況と対策

寺田考紀(沖縄県衛生環境研究所)

タイワンハブは、ハブ酒やハブ粉などの製品やマングースとの決闘ショーに用いるため1970年代頃から県内の複数の施設が輸入していた。1993年に名護市で初めて野外で発見され、同市為又・中山地区を中心に定着が確認されたタイワンハブは、近年同地域周辺で高密度化しており、咬傷事故も2008年までに5件発生している。2005年には恩納村山田でタイワンハブが発見され、同地域内での定着を確認し、沖縄本島内で離れた2つの地域にタイワンハブが定着していることがわかった。

名護市とその周辺では、ハブ捕獲器30〜40台を、同じ地点に3ヶ月間設置し、タイワンハブ捕獲の有無を調べて分布域を特定した。その結果、名護市の為又、中山、大北、伊差川、我部祖河、内原、古我知、呉我、旭川、屋部、宇茂佐、今帰仁村の湧川、呉我山、本部町の伊豆味での生息を確認し、直径約6kmの範囲に分布していることがわかった。分布域内に設置したハブ捕獲器の月平均捕獲率(捕獲数/台/月)を見ると、1999年は0.16、2003年は0.41、2004年は0.48、2008年は0.63と、未だ密度が増加していることが伺える。月別の捕獲率を見ると、11月前後が最も高く、次いで5月前後が高い。

市町村役場主体で行われているハブ捕獲器を用いた2008年(1月〜11月まで)駆除個体数は、名護市が52、本部町が54、恩納村が101、今帰仁村は不明である。捕獲器の運用数など駆除作業の規模は各市町村により異なるが、対症療法的な捕獲器の運用に留まっているのが現状である。捕獲による密度低下と低密度維持に努めるのが望ましいが、現状では課題がまだまだ多い。


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