| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PA2-634

アカミミガメとクサガメの潜水行動の比較:種間競争と種内競争の観点から

*森貴久,小島歩(帝京科学大学)

外来種であるアカミミガメTrachemys scripta elegansと在来種であるクサガメChinemys reevesiiの潜水生態に種間・種内競争が与える影響を実験的に明らかにするため,両種の個体に潜水深度を記録するデータロガーを装着して水槽実験を行ない,各種が単独で採餌するときと同種他個体または他種他個体と一緒に採餌するときとで潜水行動がどのように変化するかを,体サイズが大きいものと小さいものを用意して比較した.潜水行動としては,餌をおいた水底に滞在する時間と潜水効率(底滞在時間/[潜水時間+水面時間])を調べ,水中利用の指標とした。

他個体がいると,クサガメの大きい個体では,それが同種でも他種でも潜水効率が大きくなり,とくに他種のときに底滞在時間が大きくなった。小さい個体では,とくに同種のときに潜水効率が小さくなり,底滞在時間も短くなった。アカミミガメの大きい個体では,とくに同種のときに底滞在時間が短くなり,潜水効率が小さくなった。小さい個体では,同種のときに潜水効率が大きくなった。これらのことから,クサガメは小さいときには種内・種間競争があると水中利用が制限されるが,大きい個体だと競争に対応でき,アカミミガメは小さいときには種内競争につよく,大きい個体だと両条件で水中利用が制限されることが示唆された。


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