| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PC1-357

囲い込み実験によるカエル類幼生3種の種間競争の検証

*豊田大輔, 藤岡正博(筑波大・院・生命環境)

カエル類では、幼生期にうける競争や捕食によるストレスが変態後の適応度に影響することが知られている。本来、早春に産卵するニホンアカガエルの産卵は、早春に産卵できる水田の減少により、産卵時期の遅れが野外で観察されている。本研究では、ニホンアカガエルとそれより遅れて産卵する産卵するカエル類2種、シュレーゲルアオガエルとニホンアマガエルにおける幼生期の種間競争に着目し、野外実験を行った。

実験は、2008年5月19日から7月21日まで、茨城県鉾田市の耕作水田2枚にエンクロージャー(1mmメッシュ、底面積50×50cm)を設置して行った。実験水田の周辺で、カエル類幼生(Gosnerの発達段階26)の個体を採集し、アカガエルは5月21日、シュレーゲルアオガエルは5月26日、アマガエルは6月1日に、エンクロージャー内に放した。カエル類幼生の組み合わせを5通り(各種単独とアカガエル+アマガエル・アカガエル+シュレーゲルアオガエル)とし、2段階の密度(低密度15個体、高密度30個体)で繰り返し数を5とした。前肢が生えたものを変態個体として回収し、変態するまでに要した日数、湿重量、体長等を記録し、総回収数より変態成功率を計算した。

二元配置分散分析を用いて種構成および密度間で比較したところ、アマガエルは変態時の湿重量については密度や種構成の影響を受けなかったが、変態成功率は密度および密度と種構成の交互作用に有意な影響を受けた。一方で、シュレーゲルアオガエルの湿重量は密度および密度と種構成の交互作用に有意な影響を受けたが、変態成功率は密度や趣向性の有意な影響はなかった。以上のことから、アカガエルの産卵が遅れることにより、後から産卵する種の成長や変態が影響を受けることが示唆された。


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