| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PC2-749

ヨツモンマメゾウムシの幼虫競争タイプは射精戦略に影響するのか?

*香月雅子(岡大院・進化生態),徳永幸彦(筑波大),宮竹貴久(岡大院・進化生態)

ヨツモンマメゾウムシは幼虫時にひとつの豆の中で発育し、他の豆に移動できないため、資源が制限される。そのため、幼虫時に同じ豆内に他個体が存在するとき、資源をめぐる競争が生じる。この競争には他個体を噛み殺して資源を独占し、1個体のみが出現するコンテストタイプと、資源を共有し、複数の個体が出現するスクランブルタイプの2つのタイプがある。この2つの幼虫競争タイプの頻度は、地理的系統によって異なることが知られている。資源をめぐる幼虫時の2つの異なる行動は、密度が高い場合に繁殖戦略にも影響するだろう:幼虫競争タイプがコンテストタイプのとき、資源内に高密度で競争者が存在する場合も他個体を排除するので、将来出会う精子競争の激しさは低密度時と同じ程度になると考えられる。一方、スクランブルタイプでは、高密度時には多くの個体が出現するので、低密度時よりも激しい精子競争にさらされると考えられる。本研究では、幼虫競争タイプの頻度が異なる系統において、豆1粒5卵の高密度処理区と豆1粒1卵の低密度処理区を作り、高密度処理区由来の未交尾オスと、低密度処理区の未交尾オスをそれぞれ処女メスと交尾させた。交尾させたメス体内の射精量を推定することによって幼虫時の密度に対するオスの射精量の反応が、幼虫競争タイプによって異なるかどうかを調べた。


日本生態学会