| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PC2-750

Eavesdropping:鳥類における盗聴を介した他者なわばりの利用

*坂本信介(慶應・生物,首都大・理工),宮澤絵里(首都大・都市教養),鈴木惟司(首都大・理工)

コミュニケーションとは、シグナラーとレシーバー間の、何らかの情報を持つシグナルを介した相互作用である。したがって、動物のコミュニケーション研究の多くは、二者間の相互作用を対象としている。ところが、実際は、意図しないレシーバーにもシグナルが伝達される場合は少なくない。そこで、ある情報を持ったシグナルを共有しうる社会的環境を、コミュニケーションネットワークとして捉え、これらの問題を扱おうというアイデアがある(McGregor 1993, McGregor et al. 2000など)。このネットワークに属する第三者による盗聴は、シグナルそのものから情報を得る、Interception(Interceptive eavesdropping)と、シグナラーとレシーバー間の相互作用から情報を得る、狭義のEavesdropping(Social eavesdropping)の二つに大別される。これらの盗聴は異種間でも起こりうるが、異種間でのSocial eavesdroppingについての知見は限られている。

ヒヨドリとガビチョウは、関東の都市緑地で、しばしば同所的に生息する。既知の通り、両者は非常に大きな声でコミュニケーションを行う。これら二種の種内・種間でのSocial eavesdroppingの有無について調べるため、野外観察および実験を行った。その結果、ヒヨドリーヒヨドリ、ヒヨドリーガビチョウ間での相互作用の情報を利用し、第三者であるガビチョウが、ヒヨドリのなわばりへの侵入頻度を変えている可能性が示唆された。Interceptionの可能性も捨てきれないが、種間でのSocial eavesdroppingの可能性が高いと考えている。種内での結果との比較、問題点や今後の展開などを含め報告したい。


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