| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PC2-766

オオカズナギの卵保護様式

*森川太郎(熊本大・院・自然科学),逸見泰久(熊本大・沿岸域センター)

オオカズナギ Zoarchias major は、大阪、兵庫、福岡、熊本など、主に西日本で生息が確認されている体長10cmほどのスズキ目ゲンゲ科カズナギ属の魚類である。本種の属するゲンゲ亜目はどの種も細長い身体を持つなど形態は類似しているが、卵保護様式は多様で、オス単独による保護、メス単独による保護、両親による保護、のすべての様式が確認されている。このように非常に興味深い分類群であるにもかかわらず、生態や行動に関する知見はほとんど皆無であり、今後、研究が必要な分類群である。

本研究では、オオカズナギの卵保護様式を明らかにするために、飼育観察と野外調査を行った。飼育観察では、腹部が膨張しているメスをオスと共に水槽内で飼育し、その後の産卵および卵保護行動を観察した。野外調査では、配偶行動を明らかにするために、岩に開けられた巣穴に生息していたオオカズナギを卵塊とともに採集した。

飼育観察は1例に過ぎないが、産卵前はオスメス共に巣穴に滞在した。しかし、産卵後のメスは卵塊を抱くような姿勢で巣穴内に留まったのに対し、オスは巣穴の外に出て巣穴のすぐ側にいることが多かった。

2008年12月までの野外調査では、単独で卵保護していたものが、オス単独とメス単独、合わせて12例、両親で卵保護していたものが14例採集された。両親保護の種でも単独保護を行う場合があることが近縁種で報告されている。しかし、オス単独保護もしくはメス単独保護の種で、両親保護が確認された報告はないようである。したがって、オオカズナギは基本的には両親保護であると考えられた。

今後、2009年1月から3月にも野外調査を行う予定であるので、発表時はその結果も加えて議論する。


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