| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


シンポジウム S05-1

はじめに,生活史理論がつなぐ超個体の進化,群集,保全

辻 和希(琉球大学・農)

アリ,サンゴ,そして植物の7割をも占めるとされるクローナル植物には共通性がある.それは,一旦定着すれば移動が困難な超個体であること.多年性で齢構造を持つ事.そして生物多様性保全や生態系サービス維持のための鍵と成りうる分類群である事などである.動けない制約ゆえ,撹乱に対しては,相通じる適応戦略が進化している可能性がある.本シンポでは,これら現象を撹乱への生物の生活史の応答という一般的文脈で整理を試みる.そしてこの基礎的な問題設定が侵略的外来種や生物多様性保全問題を考える際にどう役立つのかに特に焦点を当て議論する.これら応用課題は集団遺伝学から群集動態論までクロスオーバーする問題であり,従来より幅広い視点が必要とされる現代的問題の典型である.この企画は今後も続けていきたいが,第一回の今回は,理論研究者,植物とアリの進化生態学者と群集生態学者を講演者に,さらにサンゴの実証研究者と生活史戦略理論の専門家をコメンテーターに迎え議論を深めたい.


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