| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


シンポジウム S11-5

生態系サービスへの支払いにおける潜在力と課題

*サーカー・アシュトシュ, 嘉田良平, 大野勝弘, 森 章(横浜国大・環境情報)

自然の恩恵である生態系サービス、多くの部分が一般的な市場を持たず、価格が明示されることは少なかった。一方では、近年「経済的外部性」や「生態リスク」、「市場の失敗」を扱うにあたり、生態系サービスの経済的な価値の評価が注目されている。

本研究においては、第一に、生態系サービスが希少で、多くの場合経済的に定量化が可能な価値を持つ資源であること、および経済価値を定量把握してこなかったために、巨大な経済的な外部性と水質劣化や温室効果ガスの排出といった生態リスクが生じ、サービスの不適切な配分によって市場の失敗が生じたことを示した。

第二に、生態系サービスの、供給者・受益者間の支払い論拠、価値の算定と支払いメカニズムに基づき「経済的外部性」と「生態リスク」および「市場の失敗」に関わる課題をどの様に扱うかを提示し、支払いメカニズム構築の可能性と課題を分析した。

なお分析においては、日本、オーストリア及びインドネシアからの複数の異なる生態系を事例として、生態系の供給、調整、文化的サービス(ミレニアム生態系評価 2005)に着目し、仮想市場法を用いて行った。

最後に、支払いメカニズムを構築することで、人間福利がどのように向上しうるのかを考察した。


日本生態学会