| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


企画集会 T21-1

気候変動と植物・動物フェノロジー変化:地球規模・日本での変化傾向

土居秀幸(University Oldenburg)

地球温暖化による気温上昇の影響は,広く生態系に拡がりつつあり,特にフェノロジー(生物季節)のタイミングにその影響が波及しつつある。近年,今まで蓄積されてきた長期データを使って,気候変動の植物フェノロジーへのさまざまな影響について研究され始めている。その結果,地球温暖化により,植物・動物のフェノロジー(生物季節)のタイミングに,大きな影響がでてきていることが近年明らかとなってきた。今までは長期的かつ広範囲なデータセットをもつヨーロッパや北アメリカで研究が先駆的に進んできたが,実は日本にも,非常に有用なフェノロジーのデータセットが存在することは,あまり知られていない。気象庁では,1953年から現在まで全国102カ所の観測所で,のべ120種以上の植物・動物種についてその開花・発芽・落葉・初見日・初鳴日などのフェノロジーが記録されている。演者らは,日本の生物季節データセットを使って,日本におけるフェノロジーと気候変動の関係について研究が進めつつある。また,メタ解析を使った結果により,地球規模でどのようにフェノロジーの変化が進行しているかが明らかとなってきた。本発表では,はじめに,地球温暖化による気温上昇の生態系への影響について概観的に紹介し,地球温暖化による地球規模・日本での植物・動物フェノロジーの変化傾向について紹介する。また,そのフェノロジーのミスマッチによる,受粉や捕食などの生物間相互作用に与える影響についても紹介する。


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