| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


企画集会 T24-2

地域社会の要としての エコミュージアムの深化

*浜本麦, *浜本奈鼓(重富干潟小さな博物館・くすの木自然館)

環境教育を活動主体とするNPO法人が干潟の小さな博物館を運営している。この博物館が、生活や漁業の場である地域に対しどのような位置づけであり、どのような役割を担っているかについて発表する。

1.干潟の現状を把握し、より良い環境にするために、地域内に拠点を持ち行なっている調査研究活動

○干潟の底生生物定期定量調査

・干潟にいる生き物の現状把握と、環境変化時の比較対象としての基礎データとする。

○思川河口域における多毛類の生殖活動(群泳)調査

・いまだに未解明な多毛類の生殖活動のメカニズム解明のために行なう。

・観察しやすい場所の利点を生かし、環境教育のためのエコツアーとしても実施している。

○重富干潟及びその流域に訪れる野鳥の観察調査

・干潟周辺にいる野鳥の現状把握と、季節の変化等、基礎データ収集のために行なう。

○重富の海岸及びその駐車場に人為的に捨てられたゴミの調査

・海岸を利用する生物(人間含む)が安全に過ごせるための環境保全、ゴミ減少のための対策を考えるデータとする。

2.地域活動拠点としての博物館の影響と役割

○1の調査研究活動を基礎として、干潟や流域の生態系やそこに住む生き物について、一般(幼児〜高齢者)に対して、体験型の体験学習を行なう。

○干潟周辺や、河川流域・海域に住む住民達(町や自治体・小学校など含む)が、環境について考える時のコーディネーターとなる。

○地域住民が主体となる環境保全活動を進める人々の人材育成を行なう。

○五者(産・官・民・学・NPO)が連携し、実践する環境保全活動のコーディネーターとして、活動を進める。

3.今後期待される新たな役割

○博物館に展示してある内容は、学術的な生物系の博物館であるが、活動としては、地域資源(人材も含む)の博物館として、まさに地域の要となることを大きく期待されている。


日本生態学会