| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


企画集会 T26-4

鮭川村でのギフチョウ保全の仕組みづくり 〜地域住民の視点から〜

高橋 淳(鮭川村自然保護委員会)

山形県の北部、鮭川村における生態系保全に向けた取り組み。キーワードは、地域の誇りを喚起しながら結果として生物多様性が担保される仕組みづくり。チョウ類をはじめとした環境保全の活動を継続していくためには、「地域の理解」が不可欠である。その「地域の理解」は、「地域の誇り」を喚起することによって得られる。「誇り」を喚起するには、地域の伝統や文化を理解し、地域に根ざした「組織」が必要であり、その「組織」には、アドバイスをしてくれる「専門的集団」が必要なのだと感じている。その一連のつながりが形成されると、互いの必要性が認識されるとともに信頼が醸成され、継続性が担保されるのではないだろうか。ギフチョウで商売ができるわけではない。集めて自己満足していても、次々に絶滅しては意味がない。地域振興と環境保全が結びつき、結果として生物多様性が維持される仕組み。そのキーワードが地域の誇りだと考える。これからも、チョウが生息できる環境を「地域の誇り」と受け止め、活動を展開していきたい。


日本生態学会