| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


企画集会 T27-2

複雑ネットワークと生物の保全:湖沼・水田水系への応用を目指して

佐藤一憲(静岡大)

複雑ネットワークの研究は前世紀末に始まり今日に至るまで,さまざまな分野で理論的および実証的な結果の膨大な蓄積がされてきた.ここでは,複雑ネットワークの理論で重要な概念を示すとともに,特に生態ネットワークに焦点を絞って,これまでに得られている知見を紹介する.Ings et al. (2009) に従えば,生態ネットワークは大きく3つのカテゴリー(食物網,共生関係,寄主捕食寄生者関係)に分類される.生態系を保全するためには,このような生態ネットワークの生成・維持のメカニズムや頑健性などの特徴を明らかにすることが不可欠であることは論をまたない.それでは,現実の生態系(特に湖沼や水田水系)の保全に対して,複雑ネットワークの視点からは具体的にどのようなアプローチが有効だろうか.また,今後はどのような理論的および実証的な研究が必要となってくるだろうか.これらの問題に対して,私の意見を示すとともに,会場の皆さんと一緒に考えたい.


日本生態学会