| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(口頭発表) C1-09

落葉広葉樹二次林の林冠構造と林内光環境の空間分布

*右田千春(森林総研), 千葉幸弘(森林総研)

福島県いわき市にある落葉広葉樹二次林(約80年生)の種組成、個体サイズ、空間分布などの林分構造と光環境の面的な分布構造を明らかにするため、調査林分を10m×10mのサブプロット45個に区分して、毎木調査(DBH>4cm)、光環境計測、リター回収等を実施した。林冠木を対象として、1994年、2000年、2008年に立木配置、樹種、DBH、樹高を調査し、林分構造および成長量の変化を解析した。2008年4月、8月、10月、12月に林床における全天空写真を撮影して開空度を解析した。早春の展葉から落葉期までのリター回収を1993年、1994年、2009年に実施した。

胸高断面積合計でみると優占樹種はミズナラ、コナラ、アカシデで26%を占めた(2008年)。調査林分における本数密度、平均DBH、胸高断面積合計は、1994年にそれぞれ1044本/ha、16.6cm、29.2m2/ha、2000年に1504本/ha、14.0cm、34.3m2//ha、2008年に1467本/ha、14.9cm、37.8 m2//haであった。平均開空度は、開葉直前の4月で48.0(最大59.6、最小37.0)%、着葉期の8月で12.1(最大16.4、最小7.8)%、落葉後の12月には50.4%(最大61.7、最小35.1)%であった。早春の開葉前の光環境は林床植物の生残への影響が大きいと考えられる。また本調査林分では枝および幹による遮光効果が50%前後を占めていることが明らかになった。落葉期のリター量は11月が最大であった。リター量から1993年、1994年、2008年における林分葉量は、それぞれ3.1 ton/ha、2.7 ton/ha、4.4 ton/haと推定された。さらにサブプロットごとの現存量、年平均増加量、個体サイズ分布を含む林分構造と14年間の成長過程に関する解析を行った。


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