| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(口頭発表) I1-10

ブッポウソウの給餌活動

*水野聖子(岡大・MP),飯田知彦(広島県教育委員会),峯光一(南西環境研究所),三枝誠行(岡大・理)

ブッポウソウは、日本に5月初めごろに飛来する。5月下旬につがいを形成した後に産卵し、6月中旬から下旬にかけて雛が孵化する。孵化と同時に雛への給餌活動が見られるようになり、7月中旬から8月上旬にかけて巣立つ。本種の調査地である岡山県加賀郡吉備中央町は、日本野鳥の会岡山県支部が中心となって多くの巣箱が設置された結果、個体数の増加が見られるようになった。私たちは、現在設置されている巣箱が本種の繁殖にどの程度利用されているのかを把握するために調査を始めた。

本種の繁殖生態調査は、吉備中央町一帯に設置された計177個の巣箱を対象にして行った。調査内容は、1)双眼鏡と伸縮可能な竿の先端に取り付けた携帯電話のビデオ機能を利用して、産卵日、一腹卵数、孵化日、孵化雛数、巣立ち日、巣立ち雛数を、各巣箱につき数日おきに記録した(推定も含む)。2)給餌活動の日周パターン(diurnal pattern)を定量的に把握するために、巣箱の近くに赤外線カメラを設置し、1ヵ月半にわたって親鳥の給餌活動を連続的に記録した。カメラは、卵数が異なる4個の巣箱に設置した。

2009年の調査の結果、1)繁殖つがい数は、125であった。その内、9つがいは繁殖に失敗した。平均一腹卵数は4.16±0.07、平均孵化雛数は3.88±0.08、平均巣立ち雛数は3.64±0.10であった。繁殖成績に関して、卵数・雛数が5の場合では、孵化率、巣立ち成功率、繁殖成功率が悪くなる傾向が見られた。2)給餌活動は、4個のうち3個の巣箱でデータ解析を行った。いずれの巣箱においても似たような日周パターンがあることがわかった。

また、ビデオカメラのデータ解析に関しては、自動解析の開発を試みた。その方法と結果についても報告する。


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