| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(口頭発表) I2-07

日本産トゲオオハリアリにおいて卵はワーカー間順位行動を抑制するか?

*下地博之 (琉球大), 藤木悠里 (京都工繊大), 辻和希 (琉球大), 山岡亮平 (京都工繊大)

アリでは繁殖を担う女王と繁殖以外の労働を担うワーカーという生殖的分業が成立しているが、普通ワーカーは交尾出来ないものの卵巣を保持しており未受精卵を産める。しかし女王存在コロニーにおいてワーカー産卵は稀なため、ワーカー産卵を制御する女王物質の存在が議論されてきた。焦点は女王物質の同定であるが、その前に女王情報の伝達特性を調べる必要がある。Tsuji et al. (1999) は、トゲオオハリアリを用い、実験的に一部のワーカーの巣内の移動を制限したところ、女王との接触が禁止されたワーカーだけが卵巣を発達させた事から、女王情報は女王との直接接触のみでワーカーに伝達されると議論した。しかし、本種では多くの場合、卵は卵塊で女王の近くに置かれているため、女王との接触を禁止されたワーカーは、同時に卵と接触する機会も制限されていた可能性がある。そこで本研究では、本種ワーカーにおいて女王との接触と卵との接触を切り離す実験を行い、ブルードを介した女王情報のワーカーへの間接伝達の可能性を検討した。


日本生態学会