| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-007

本州中部におけるヤエガワカンバの生育立地環境

黒田学,*清野達之,上條隆志,中村徹(筑波大・生命環境)

ヤエガワカンバはカバノキ科の落葉広葉樹であり,日本では本州中部地方と北海道の一部に隔離分布している.この種の分布に関する情報は知られているが,分布地での生育立地環境に関しては情報が少ない.そこで,本種の本州中部での分布地である長野県野辺山周辺の森林で,同属のシラカンバとダケカンバ,同所的に優占するミズナラの生育立地,サイズ構造と成長を比較し,ヤエガワカンバの生育立地環境を明らかにする事を目的に調査を行なった.

調査は長野県南佐久郡川上村の筑波大学川上演習林で行なった.ライントランセクト法によってヤエガワカンバを含む主要種の胸高直径と樹高の測定,生育地の地形測量を行なった.同時に成長錐によるコアサンプリングを基にした幹の成長解析を行なった.地形と傾斜角による分布傾向の比較を行ったところ,ヤエガワカンバとミズナラは緩斜面で多く出現し,ダケカンバは急斜面に多く出現していた.地形区分においては,ヤエガワカンバやミズナラは尾根上に,ダケカンバは斜面に多く分布していた.シラカンバに関しては,傾斜と地形区分共に明確な分布傾向はみられなかった.年輪解析を基にした幹の成長解析の結果,ダケカンバが最も成長が早く,シラカンバとミズナラが同程度,ヤエガワカンバが最も成長が遅かった.胸高直径階分布は4種ともに一山型分布を示したが,ミズナラの多くは萌芽更新していた.

以上の結果から,ヤエガワカンバは同所的な同属種とは異なる立地環境で,同所的な多種の優占種とは類似した立地環境で生育しているが,更新様式と成長の違いによって共存していることが示唆された


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