| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-023

雑草群落の種数と種構成の空間的不均一性

*佐々木彩,樋渡達哉,山村靖夫,塩見正衛(茨城大・理)

雑草群落の構造は、空間的・季節的に大きく変化する。本研究では、一年生の雑草群落での種数と種構成の空間的・季節的な動態を明らかにすることを目的とした。調査地は、茨城大学構内の除草剤が使われていない雑草群落に設置した。5月下旬に調査地を耕し、地下栄養体を含む雑草を可能な限り取り除き、そこに1 m×1 mのL-コドラートを8つ作った。L-コドラートは、10 cm×10 cmの100個のS-コドラートに分けた。6月下旬からほぼ3週間ごとに、発芽成長してくる植物をS-コドラートごとに分けて地際から刈取り、出現した種数、バイオマスを測定した。 1回の調査では1つのL-コドラートのデータを取った。

全調査期間に、不明種を除き32種の草本植物が出現した。出現種数は7〜8月に最も多くなり、10月上旬にかけて減少した。10月下旬には秋発芽の植物が出現し始めたために種数が一時的に増加したが、その後一年生草本が枯死したために再び減少した。メヒシバ、エノコログサが一年を通して高い出現頻度とバイオマスを占めた。ヒメジョオンの出現頻度は比較的高かったが、バイオマスは小さかった。秋になるとノビルが発芽し始め、ヒメジョオンの個体数が増加した。バイオマスの分布パターンでは、バイオマスの大きい種が比較的均一な分布、バイオマスの小さい種が不均一分布をしたが、ヒメジョオン等、ランダムに近い分布を示した種もあった。100個のS-コドラート間の種構成および、S-コドラート当りの種数は、調査期間を通じてランダムな種構成でランダムな種数分布を示す傾向が明らかになり、群集の中立説を支持する結果となった。


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