| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-175

異なる土壌塩分条件がタマリスク苗木の塩腺からの分泌液の蒸発量に及ぼす影響

*政二大志,松尾奈緒子(三重大・生物資源),今田省吾,岩永史子,村田直樹,山中典和(鳥取大・乾燥地研)

植物の蒸散にともない葉内水の酸素安定同位体比(δ18O)が上昇することを用いて,葉内水のδ18Oから蒸散特性を評価することができる.この手法を塩生植物の耐塩性の評価に応用する試みが行われている.しかし,植物体内の不要な塩分を体外に分泌する塩腺を葉に持つ植物では,気孔からの蒸散だけではなく,塩腺からの水の蒸発も葉内水のδ18Oに影響する可能性がある.そこで本研究では,鳥取大学乾燥地研究センター敷地内のビニールハウスにおいて,同じ環境条件下で育てたTamarix ramosissimaのポット苗に異なるレベルの塩分ストレスを与え,土壌塩分濃度が苗木の塩腺からの分泌液の蒸発量と気孔からの蒸散量のそれぞれに及ぼす影響を明らかにする.さらに,塩腺からの分泌液の蒸発が葉内水のδ18Oに与える影響についても明らかにする.0mM,200mM,400mMの3段階のNaCl水を与える処理を行い,処理開始から約30日後にポロメーター(LI1600,Li-Cor)を用いた葉の蒸発散速度の測定と葉の塩腺からの分泌塩の乾燥重量,分泌液の濃度,葉内水のδ18Oの測定を行った.また,各処理による塩分ストレスの違いを評価するため,一ヶ月に一回シュート長の測定を行った.これらのデータを用いて気孔からの蒸散量と塩腺からの分泌液の蒸発量を分離して推定し,それぞれが葉内水のδ18Oに与える影響を考察する.


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