| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-278

宮島における人為攪乱後の森林再生パターンとコシダの関係

河口剛輝(広島大・総科),山田俊弘,奥田敏統(広島大・総科)

広島県廿日市市の宮島では1973年からマツ枯れ対策としてマツ枯損木の伐出が行われた。その際に、ブルドーザーによる搬出や全木集材の手法が用いられ強度の人為攪乱が起き広範囲で皆伐に近い状態になった。一般的に暖温帯の照葉樹林では攪乱後に萌芽性の強いシイ、カシ類の萌芽林が成立する。同じ照葉樹林帯に属する宮島では攪乱を受けた地域にコシダが優占する遷移初期段階の植生が広範囲に形成され、異なる森林の成立過程があることが推察される。本研究は宮島のマツ枯損木の伐出による攪乱を受けた地域における森林再生の機構を考察する事を目的とした。

空中写真とALOS画像から攪乱後の土地被覆の動態を解析した。地形と土地被覆の変化の違いから調査地を5区分し、各区分において毎木調査を行い林分構造と種組成を比較した。

調査地の成熟林はシリブカガシが優占し、その次に優占する種は谷部ではミミズバイであり尾根部ではネジキであった。攪乱地の谷部では林分構造は成熟林と同程度にまで回復し、シリブカガシの萌芽林が形成されていた。また、成熟林と比べて攪乱地の谷部では成熟林の林冠構成種の相対優占度は低くなり、先駆種のウリハダカエデの相対優占度が高くなっていた。攪乱地の尾根部では林分構造はあまり回復しておらず、林床でコシダが繁茂するネジキの萌芽林となっていた。攪乱地の尾根部では成熟林の林冠を構成する高木種が欠落しており、尾根部では攪乱後に高木種の萌芽再生が行われなかったと推測される。高木種が欠如した攪乱地の尾根部ではコシダの生育を制限するほど林床の光環境が悪化している場所は少なく、コシダの繁茂によって殆ど稚樹が存在していなかった。尾根部の攪乱地に高木種が定着するまでには長い時間が必要であると考えられた。


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