| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-010

植食者の違いがブタクサの分解過程に及ぼす影響

三浦和美,大串隆之(京大生態研)

植物は植食性昆虫による加害を受けた後、葉の質が大きく変化する(Karban and Baldwin 1997)。このため、加害を受けた植物個体のリターの質の変化が、土中でのリターの分解速度や養分動態に間接的に影響することが明らかになりつつある(Hunter 2001, Chapman 2006, Crutsinger et al. 2008)。多くの植物では、複数種の植食性昆虫が加害する(Strong et al.1984)。しかし、これまで、ゴール昆虫といった特定の昆虫による加害がリターの分解速度や養分動態に及ぼす影響が検討されてきたが(Crutsinger et al. 2008)、複数種の昆虫による加害が及ぼす影響を検討した例は少ない。北米原産の一年生草本のブタクサ、ブタクサを加害する北米から近年侵入した咀嚼性のブタクサハムシ、および吸汁性のアワダチソウグンバイを材料に、ブタクサハムシとアワダチソウグンバイの摂食様式の違いに注目して、これらの昆虫に加害されたブタクサの葉のリターの質の変化と土中での分解過程に及ぼす影響を調べた。特に、(1)加害した昆虫が異なるブタクサのリター間で分解速度を比較した。(2)養分動態として、窒素とリンのリター含有率の経時変化を把握した。(3)リターの分解速度や養分動態に影響する要因として、リターに含まれる総フェノール性化合物の含有率を計測した。これらの結果から、摂食様式が異なる植食性昆虫による加害がリターの分解速度と養分動態に及ぼす影響を検討する。


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