| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-030

マレーシア・ボルネオ島の焼畑休閑林における排泄された種子と開空度との関係

*鴨井環(愛媛大),Oswald Braken (Sarawak Forestry Corporation),酒井章子(地球研)

鳥は種子散布者として、植生の回復に貢献する。遷移初期に移入する種子の多くが鳥散布種子であることがシードトラップを使用した研究で報告されている。しかし、植生遷移に影響を与えるような種子の移入がどの鳥によって引き起こされるのか、それが遷移段階によってどのように変化するのかを調べた研究はない。また、鳥は果実以外にも昆虫や花蜜などの複数の餌資源を利用している。同じ種類の鳥の間でも、植生によって果実を利用するかどうか、種子を散布するかどうかは異なる可能性がある。そこで、異なる植生間において、実際に種子を散布する鳥の種類や大きさ、それらの鳥が散布した種子の特徴を詳細に調べる必要があると考えた。調査は2008年10月から12月に、マレーシア、ボルネオ島、ランビル国立公園内3プロットとその周辺の焼畑休閑林内に設置された9プロットで実施された。カスミ網を用いて、鳥を捕獲し、鳥の種類、体重(g)、嘴の大きさ等を記録した。捕獲した鳥の糞を採取し、その糞の内容物(種子・節足動物)、排泄された種子の種類、個数、乾燥重量(g)を記録した。調査プロットの遷移段階の指標として、開空度(%)を用いて解析した。以上の調査から、開空度(%)と(1)種子を排泄した鳥の個体数、(2)排泄された種子の量(個数・乾燥重量)の関係を示し、(3) 排泄された種子量の変動がどの鳥の種類によってもたらされるのかについて明らかにし、植生遷移における種子散布者の役割について考察する。


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