| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-130

北海道千歳川支流ママチ川における魚類相と環境要因の関係

*山崎千登勢(北大・環境科学院),長谷川功(さけますセンター),齊藤隆(北大・北方生物圏フィールド科学センター)

生物の分布様式を決定する主な要因として環境要因が挙げられる。本研究では、河川棲魚類の分布様式を明らかにするため河川全域の各魚種の個体数と環境要因との関係性を把握することを目的とし野外調査を行なった。調査は2009年の夏季に北海道千歳川支流ママチ川で行なった。調査区は河川の本支流に計48箇所設置した。各調査区では、魚種別に個体数推定と環境計測(面積、流速、水深、底質、カバー、たまり、淵、勾配)を行い、そして各魚種の個体数と環境要因との関係を調べた。解析の結果からサクラマス、サクラマス当歳魚、ブラウントラウト、ブラウントラウト当歳魚、カジカの個体数はカバーから正の影響を受けていた。これはカバーが種内・種間競争を緩和したことで個体数に影響を与えたためと考えられる。また、ブラウントラウトとその当歳魚、カジカ、アメマスの個体数は調査区面積との関係性が見られなかった。これは面積の効果よりもカバーの効果のほうが個体数に影響を及ぼしているためと考えられる。以上のことから、カバーは河川棲魚類の分布様式に大きな影響を与えていることが示唆された。


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