| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-139

干潟の底生生物群集における多様性の広域パターン:モニタリングサイト 1000 沿岸域調査

*熊谷直喜(日本国際湿地保全連合),脇山成二(環境省・生物多様性セ),木村妙子(三重大・生物資源),古賀庸憲(和歌山大・教育),浜口昌巳(瀬戸内水研),逸見泰久(熊本大・沿岸域セ),風呂田利夫(東邦大・理),鈴木孝男(東北大院・生命科学)

社会的要請として、生物多様性の減少や生態系サービスの劣化などの生態系の異変について対策を講じることが急務である。これらの問題に取り組むためには、まず広域かつ長期にわたる様々な野外生態系の調査を行い、それらの現状と異変の原因を的確に把握する必要がある。環境省によるモニタリングサイト 1000 の沿岸域調査では、2008 年度から磯、干潟、アマモ場、藻場の各生態系に設置した調査サイトにおいて年 1 回の調査を行っている。本研究では 2008 年度に干潟で得られたデータを解析した。本研究の目的は、干潟生態系の年変動を検出するための基礎情報として、底生生物の分布パターンの特性を明らかにすること、またその分布パターンを決定する要因を推定することである。

底生生物を調査対象として、北海道から南西諸島にかけての太平洋岸に沿って 8 調査サイトを設定した。それぞれのサイトに 1-3 ヵ所の調査帯、各調査帯につき鉛直方向に2-3 段階の調査ポイントを選定し、各ポイント内で5つの方形枠(50 x 50 cm)を用い、表在・埋在生物相を調査した。埋在生物はコアサンプラーを用いて直径 15 cm、深さ 20 cm 内の底土ごと採集した。また底土の粒度および有機物量も分析した。

全サイトで総計 369 種、方形枠あたり159.2 個体/m2の底生生物が記録された。底生生物の種数、密度については、表在・埋在生物ともに中程度の緯度で最大となるパターンが得られた。本発表では、さらに一般化線形モデルを用いたモデル選択による、干潟底生生物の種数、個体数、多様度指数等のパターンを説明する要因についての解析結果を紹介する。


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