| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-152

水田で採食するチュウサギの機能反応を介した食物種間の相互作用

*片山直樹(東大・農),天野達也(農環研),宮下直(東大・農)

捕食者−餌個体群の相互作用の理解には、二つのプロセスが重要である。一つは捕食者の意思決定である。多くの捕食者は、採食効率(機能反応)に基づいてパッチ滞在時間を決める。もう一つは餌種間の相互作用である。直接の相互作用がない場合でも、捕食者を介した間接の相互作用が生じ得る。しかし、捕食者によるパッチ利用が餌種間にどのような相互作用をもたらすか、野外で明らかにした研究は少ない。

本研究は、水田の高次捕食者であるチュウサギが、餌種間に見かけの相互作用を生じさせるかどうかを検証した。サギは餌獲得経験と移動経路を直接観察できる。また湛水期の主な餌はオタマジャクシとドジョウであり、水田1枚相当のスケールでパッチ構造を持つことが分かっている。

2009年5月25-6日、茨城県霞ヶ浦南岸で48圃場の餌種密度を調べた。調査後1週間以内に、各圃場で採食するチュウサギを観察した。その結果、サギの餌量割合は識別できたうちオタマジャクシが94.8%を占め、ドジョウは4.2%だった。非線形回帰を用いて機能反応を調べた結果、サギの採食効率はオタマジャクシに対してのみ密度とともに増加した(タイプ2)。また一般化線形モデル(GLM)の結果、パッチ滞在時間には採食効率が影響し、種ごとではオタマジャクシの効率のみが影響していた。そして、パッチ滞在時間が長いほどオタマジャクシ及びドジョウの被食数は増加していた。

これらの結果は、チュウサギは餌の大部分を占めるオタマジャクシの豊富さに基づいてパッチ滞在時間を決め、そのためオタマジャクシはドジョウに対して間接的に負の影響を与える可能性があることを示している。


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