| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-291

アズキゾウムシのメスの再交尾変異とオス由来成分に対する感受性の変化

*山根隆史(中央農研・北陸研究センター),宮竹貴久(岡山大学・環境学研究科)

メスの多数回交尾はよく知られた現象で昆虫を含めたいくつかの生物において見られる。複数のオスと交尾をすることでメスは適応度において直接・間接的な利益となることがあるが、そのような適応度における利益がなく、さらにはコストとなる場合でも再交尾を行うことがある。

いくつかの昆虫ではオスが内部生殖器にメスの再交尾を抑制する成分を有しており、交尾の際に精子と共にメスに送り込まれる。このような精液成分などによるオスによってもたらされる成分による交尾抑制がメスの再交尾行動の変異の要因となることを示唆する研究がハエ目昆虫でいくつかの報告がある。

近年、メスの再交尾の頻度に種内で変異が明らかになっており、アズキゾウムシにおいては異なる地域集団に由来する飼育系統間で著しいメスの再交尾率の変異が明らかになっている。我々は以前にある系統においてメスの再交尾率を低下させるオス由来成分の作用を明らかにした。今回の研究では2系統間のオスの抽出物が与える効果とそれに対するメスの感受性の変異の違いを検証し、さらに、その2系統を含めた複数の系統のメスに対する抽出物作用とメスの再交尾率との関連性を調べた。


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