| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-319

バイオロギング手法による潜水性海鳥の摂餌生態

*小暮潔央(東京大学海洋研究所),佐藤克文(東京大学海洋研究所)

海洋を生活の場とする動物の行動を追跡, 観察するのは困難である. そのために近年盛んになってきているのが, 動物に記録装置を装着し, 行動データなどを記録するバイオロギング手法である. 中型の沿岸性海鳥であるヨーロッパヒメウは, 育雛期に1日数回の採餌トリップを行うが, その際, 親鳥が行うトリップの長さや, 獲得餌量にばらつきがあることがこれまでに知られている. 本研究は, こうしたばらつきがどのような原因によってもたらされるのかを明らかにするために行った.

2008,2009年にスコットランド, メイ島において, 繁殖育雛中のヨーロッパヒメウにGPSロガーと加速度ロガーを装着し, 1秒毎の緯度経度, 温度, 深度, そして1秒間に64データの高頻度での背腹方向と頭尾方向の2軸の加速度を記録した. 得られた1日分の行動データから移動経路と餌場の位置を求めるとともに, 加速度で記録した羽ばたき周波数の変化からトリップ毎の獲得餌量を推定した.

得られたデータにより, ヒメウは繁殖地のメイ島周辺の餌場から, 15キロ程度遠方の餌場までを利用しており, 採餌域と営巣地との間を直線的に移動していることが判った. 又, トリップ毎に推定された獲得餌量は約30〜300グラムと変動し, 遠方の採餌域を利用する場合ほど多くの餌を獲得し, 営巣地周辺で行われたトリップでは少量の餌獲得で帰巣する傾向が見られた.


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