| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-323

アミメアリの闘争行動

*斉藤真志(山大院・理工),廣田忠雄(山大院・理工)

闘争行動は、エネルギーの消費、時間の浪費、傷ついたり殺される、などのコストが大きい。そのため、個体は競争相手と遭遇した場合に、状況依存的に戦うか戦わないかを選択していると考えられる。アミメアリPristomyrmex punctatusは、他巣の個体に対して激しく敵対し、威嚇したり噛みついたりする事が知られている。しかし、実際に闘争実験を行うと、同じコロニー内でも闘争性にばらつきがあり、よく闘争する個体やあまり闘争しない個体などが観察された。そこで、このような差が生まれる要因について調べた。まず、個体を集団処理と単離処理に分けた。そして、24時間後に集団処理個体どうし、単離処理個体どうしを用いて闘争実験を行った。その結果、単離処理した個体は、集団処理した個体よりも、闘争性が有意に低下した。では、単離処理によって、個体にどのような変化が起きたのだろうか?ここで、脳内神経物質である生体アミンの一つ、オクトパミンという物質に注目した。コオロギやショウジョウバエの研究で、闘争性とオクトパミンの関連性が示唆されていることから、アミメアリは孤独な状態になると脳内のオクトパミン量が低下し、その結果闘争性も低下すると予測した。そこで、オクトパミンを加えた餌を与えて単離処理した個体と、普通に単離処理した個体を準備し、それぞれ闘争実験を行った。その結果、オクトパミンを加えた餌を与えて単離処理した個体は、闘争性が有意に高くなった。


日本生態学会