| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-283

アカマツ林における大型AOCCシステムを用いた土壌呼吸の多点連続測定

*後藤誠二朗,梁乃申(国立環境研究所)

日本は国土の約70%を森林に覆われており、CO2の吸収源として大きな役割を果たしている。森林におけるCO2の吸収は植生に貯蔵される部分と、土壌に蓄積される部分とに分けられる。その結果、森林土壌には多くの炭素が貯蔵されている。しかし、森林土壌は炭素を貯蔵すると同時に土壌呼吸として多量のCO2を大気中に放出している。森林土壌から放出されるCO2を測定する研究は多く行われているが、測定方法によって結果が大きく異なることが指摘されている。また、土壌は空間的に非常に不均一であることが、CO2放出量の精確な推定を難しくしている。そこで、本研究では大型のチャンバーを採用し、土壌呼吸速度の日変化と季節変化を明らかにするために連続測定を行った。

実験は茨城県つくば市、国立環境研究所敷地内のアカマツ林において行った。2009年6月18日に5基の自動開閉式の土壌呼吸測定チャンバー(縦90cm、 横90cm 、高さ50cm)を設置した。チャンバー内のCO2・水蒸気濃度変化を赤外線分析計(IRGA, LI-820, Li-Cor社)を用いて測定し土壌呼吸速度の計算を行った。

土壌呼吸速度の月平均についてみると、7月は6.56〜11.97μmol m-2 s-1であり、8月では5.51〜10.10μmol m-2 s-1に低下し、その後も低下しつづけ12月では1.72〜4.06μmol m-2 s-1であった。地温の月平均は7月より8月の方が高かったが、土壌呼吸速度は8月の方が低かったことから、乾燥などが影響を与えている可能性が示唆された。晴天時の日変化についてみると、8月では7.00〜10.00μmol m-2 s-1で、1月では2.00〜5.00μmol m-2 s-1であった。


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