| 要旨トップ | ESJ57 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


シンポジウム S06 -- 3月16日9:00-12:00 J会場

「生態リスク」にどう向き合うのか?2:データ解析からリスク解析へ

企画者: 林岳彦(国環研), 岩崎雄一(横浜国大・環境情報)

一口に「生態リスク」と言っても、その「リスク」の意味する内容は対象生物や対象のレベル(生態系・種・遺伝子レベルなど)によって大きく異なる。しかしながら、その対象生物や対象のレベルに関わらず、その生態リスクの定量化のための解析手法自体には共有化できるものも多い。一般に、リスクの推定には不可避的に不確実性が伴い、また意志決定の際にはリスク推定の不確実性の大きさを定量的に考慮した上で対策を考える必要がある。そのため、「生態リスク」を取り扱う際にはしばしば仮説検定やモデル選択などの通常のデータ解析のための手法とは異なるリスク解析のための解析手法が必要とされる。

本シンポジウムでは、生態学者にとって馴染み深い仮説検定やモデル選択などによる「データ解析」から一歩進み、予測と制御を目的とした「リスク解析/不確実性分析」を行っていくために有用なリスク解析手法について、幾つかの異なる分野における実践例を紹介し議論を行う。具体的には、モンテカルロシミュレーション、ベイズ法によるデータ解析と不確実性分析、そして意志決定理論に関する内容が議論される。また、統計数理研究所の上野玄太氏をお迎えして「AIC」以降の近年の統計学的手法の発展の流れを背景に「良いモデルとは何か」について統計学者の観点からのレビューを加えていただき、また近年の発展が著しい「データ同化」手法についての解説をいただく。

[S06-1] 趣旨説明:データ解析で終わってはいけない〜アブダクションから意志決定へ 林岳彦(国環研)

[S06-2] モンテカルロシミュレーションを用いた農薬の生態リスク解析 永井孝志(農環研)

[S06-3] 最尤推定法の近似としてのベイズ法の活用:エゾシカ個体数の推定の場合 山村光司(農環研)

[S06-4] 空間明示型Harvest based modelによる外来生物リスク管理の評価 -奄美マングース防除事業への適用を例に- *深澤圭太(自然環境研), 阿部愼太郎(環境省那覇自然環境事務所)

[S06-5] 不確実性がある中でどのように意志決定を行えばいいのか?:外来種管理を例に 横溝裕行(国環研)

[S06-6] 『良いモデル』の統計学小史:AICからデータ同化まで 上野玄太(統数研)


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