| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(口頭発表) C1-02

十勝農耕地景観に点在する孤立林に生息する鳥類群集と景観構造の関係

*高田まゆら(帯畜大), 平井克亥(岩手連大), 赤坂卓美(北大), 辻 修, 柳川 久(帯畜大)

北海道十勝地方は、約100年前の開拓事業の際に自然林の大部分が農耕地に置き換わり、また防風や木材生産を目的としてカラマツなどの針葉樹人工林が造成された、現在、本地域の大部分は農耕地が占めているが、その中に小面積の自然林や人工林がパッチ状及びライン状に無数に点在しており、鳥類などさまざまな生物の生息場所として機能している。こうした森林性生物の多様性は、当該林内の環境条件だけでなく、その周辺環境からも影響を受けて決定されていると考えられる。そこで本研究では、残存する孤立林の鳥類多様性が、林内の植生構造及び林周辺の景観構造の環境要因から受ける影響を評価した。

注目する局所要因は、林冠木の平均胸高直径、林冠木の密度、草本類の被度の3つ、また景観要因は、当該林の面積及び林周辺に分布する森林、草地の面積割合の3つである。夏期に森林を営巣・繁殖場所として利用する鳥類を対象に、2009年5月~6月の間に以下の野外調査を行った。19の広葉樹孤立林において、各林の中心で半径25mのプロットを一つ設置し、その中心において早朝30分間待機し、プロット内に出現した鳥類をなるべく種レベルで記録すると同時に、プロット内の植生調査を行った。

調査期間中34種の鳥類が記録された。本発表では、樹洞営巣性(シジュウカラ、アカゲラ等)、地表営巣性(アオジ、エゾセンニュウ等) 、樹上営巣性(アカハラ、コサメビタキ等)という3つのグループを対象に、各グループの個体数を説明する環境要因を特定し、営巣特性により環境要因の種類やそれらが影響を及ぼす空間スケールがどのように異なるかを比較する。


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