| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-022

アカメガシワにおける物理的、化学的および生物的防御形質の地理的変異

山尾 僚(鹿児島連大),鈴木信彦(佐大・農)

アカメガシワは葉にトリコームと腺点を供えており、物理的、化学的防御を行っている。さらに、花外蜜腺(EFNs)や食物体によりアリを誘引し、植食者を排除させる生物的防御も行う。本研究では、防御形質の地理的変異をアカメガシワを取り巻く生物群集の違いと関連づけて解析し、アカメガシワにおける最適対被食戦略の進化における生物群集の重要性について議論する。

2009年の春、夏および秋に岡山、奄美、沖縄および石垣島に生育するアカメガシワの防御形質と随伴しているアリと植食者の種類と個体数、植食者による食害率を調査した。

野外調査の結果、トリコーム密度は岡山、奄美、石垣に比べて沖縄で特に高かった。腺点密度は岡山と奄美で沖縄や石垣に比べて低かったが、EFNs数は岡山と奄美で多く沖縄や石垣で少なかった。株周辺アリ数、アリ随伴率、株上アリ個体数は岡山と奄美で石垣よりも多かった。主な植食者として広食性のヨモギエダシャク幼虫やマイマイガ幼虫などと狭食性のヘリスジナミシャク幼虫、タイワンアヤシャク幼虫およびツブノミハムシ類がみられた。広食性植食者による食害率は地域間で違いはみられなかったが、狭食性植食者による食害率は沖縄で最も高く、石垣、奄美、岡山と続いた。このように、アカメガシワはアリの活動性が高い地域では生物的防御を行い、アリの活動性の低い地域では物理的、化学的防御を行なっていた。さらに、化学的防御の効果が低い狭食性植食者による被食圧が高い地域では、物理的防御形質を発達させていた。以上の結果から、各防御形質への最適な投資配分はアカメガシワを取り巻く生物群集によって異なり、地域間の生物群集の違いがアカメガシワの防御戦略に異なる進化をもたらしたことが示唆された。


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