| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-186

冬季沖縄における亜種ヒヨドリの動態

山口恭弘(中央農研・鳥獣害研)

ヒヨドリは日本全国に分布し、鳥類目録第6版によると8亜種に分類され、北海道から九州に生息するものを亜種ヒヨドリ、沖縄諸島に生息するものを亜種リュウキュウヒヨドリとしている。亜種ヒヨドリは全国各地で秋と春に渡りをし、冬季には沖縄諸島で越冬する個体もいる。しかし、亜種ヒヨドリが、毎冬、沖縄まで移動しているのか、割合はどれくらいなのか等分かっていないことは多い。

調査は2006, 2008, 2009, 2010年の4年間は2月に1回、2007年は1月終わりと2月初めの2回、それぞれ3-4日、沖縄本島やんばる地域において亜種ヒヨドリの割合調査と密度把握のためのセンサス調査を行った。割合調査は調査地全体を里:集落とその周辺、果樹園:たんかん園、山:集落から1km以上山側に入った地域の3エリアに分け、車、徒歩で移動しながらヒヨドリの確認に努め、どちらの亜種であるか識別し亜種ヒヨドリの割合を算出した。センサス調査は果樹園を含む里と山の林道にそれぞれ距離2kmのルートを設け、観察半径25m、時速2kmで各年に少なくとも1往復の調査を行った。

割合調査は5年間で21日行い、亜種リュウキュウヒヨドリは1,856羽、亜種ヒヨドリは48羽確認された。亜種ヒヨドリは、2007, 2008, 2009年に確認され、2006, 2010年には確認されなかった。割合調査では、2007年2.7%、2008年0.3%、2007年8.3%となり、年により来ない年もあり、来てもその割合が異なることが分かった。また、亜種ヒヨドリが確認された3年間における里、果樹園、山における割合はそれぞれ、5.8、4.4、0.3%であった。

センサス調査は5年間で、里で7往復、山で8往復調査を行い、里で836羽、山で365羽のヒヨドリを確認した。亜種ヒヨドリが確認された年は確認されなかった年に比べ数が多い傾向が見られた。


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