| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


企画集会 T11-3

グッピー色覚遺伝子にかかる選択の検出

*手塚あゆみ(東北大),笠木聡(東大),河村正二(東大),Cock van Oosterhout(Univ. Hull),河田雅圭(東北大)

脊椎動物の中で魚類は複雑で高度な色覚をもち、色覚を司る錐体オプシンも多く持っている。卵胎生熱帯魚であるグッピーには赤〜緑の長波長領域の感受性に種内多型があり、オプシン遺伝子は重複し、各遺伝子座にアミノ酸配列多型があることがわかっている。オプシン遺伝子が色覚多様性に寄与している可能性が推察されるが、色覚多様性とオプシン遺伝子多様性がなぜ維持されているのかは、まったくわかっていない。

本研究では、グッピーの色覚多型がどのような選択圧によって維持されているのかを明らかにするために、各オプシン遺伝子(LWS(長波長感受性)4座位、SWS(短波長感受性)2座位)と参照用として他の遺伝子座情報を利用し、コアレセントシミュレーションにより、オプシン遺伝子にかかる選択圧の検出を行った。サンプルはグッピーの原産国トリニダットトバコ島から野外10集団用いた。

選択を検出するためにTajima's D検定を行ったところ、LWS-Aで負のD(純化選択)が、LWS-CSWS-2Bで正のD(平衡選択)が検出された。それぞれ10集団中1集団でのみ検出され、それらは異なる集団だった。正のD値が検出された集団が限られており、平衡選択による色覚多様性維持だけではなく、各集団での環境適応 (多様化選択)が重要な維持機構であると考えられる。選択が検出された遺伝子座が集団により異なることから、重複したLWSオプシン遺伝子は役割を分担し、適応進化に利用する遺伝子座が環境により異なっている可能性がある。また、SWS遺伝子においてアミノ酸多型と平衡選択が検出され、報告のなかった短波長の光感受性にも多様性があり、選択が働いていることが示唆された。


日本生態学会