| 要旨トップ | ESJ58 企画集会 一覧 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


企画集会 T19 -- 3月11日 14:15-16:15 E 会場

群集生態学と生物地理学をつなぐメソスケールアプローチ

企画者: 平尾聡秀(東大・秩父演習林), 久保田康裕(琉球大・理), 村上正志(千葉大・理)

群集生態学と生物地理学はそれぞれ異なるアプローチで群集形成 (community assembly) の解明に取り組んできた。群集生態学では、局所スケールで現れる群集構造・動態のパターンをニッチ分化と分散制限で説明するのに対し、生物地理学では、マクロスケールで生じる群集構造・動態のパターンを進化履歴と地理的イベントに着目して説明する。しかし、実際には対象となる群集形成のスケールが、群集生態学と生物地理学が扱うスケールの中間に位置するメソスケールである場合も多い。メソスケールの群集形成を解明するには、群集生態学的プロセスと生物地理学的プロセスの両方を考慮する必要があり、それらのプロセスをつなぐメソスケールアプローチが求められる。

日本列島における種多様性の地理的分布は、過去の地理的イベントの影響を強く受けており、局所スケールのプロセス(ニッチ分化・分散制限)とマクロスケールのプロセス(進化履歴・地理的イベント)の両方が強く作用していると考えられる。そのため、日本列島における群集形成を理解するにはメソスケールアプローチが必要である。本企画集会では、群集生態学と生物地理学をつなぐという視点から、日本列島の群集形成に関する話題を提供する。話題提供者はそれぞれ異なる切り口によって、レビューを交えつつ自らの研究例を紹介する。そして、議論を通じて、この研究領域における問題点や論点を整理し、今後の展望を探りたい。

[T19-1] 種多様性の地理的分布に対する歴史効果の影響 久保田康裕(琉球大・理)

[T19-2] 種多様性の地理的パターンとニッチ保守性 平尾聡秀(東大・秩父演習林)

[T19-3] 系統を考慮した生態ニッチモデリングによる群集保全 村上正志(千葉大・理)


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