| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-332J (Poster presentation)

コンクリート三面張り河川における生息場所不均一性と底生動物の群集構造の関係

*佐々木宏展(摂津二中,水辺のFM研究会),大澤剛士(農環研,水辺のFM研究会),久加朋子(京大院 工学,水辺のFM研究会),前田知己(福井大,海洋資源,水辺のFM研究会),石田裕子(摂南大 理工学部,水辺のFM研究会),清水洋平(淺沼組,水辺のFM研究会),三橋弘宗(兵庫県博,水辺のFM研究会)

兵庫県三田市郊外を流れるコンクリート三面張り河川の池尻川において,河道内に形成された微生息場所の不均一性と底生動物群集の対応関係について調査した.調査は,微生息場所を3タイプ(植生区,コンクリート区,淵造成区)に区分して,底生動物群集を定量的に採集し,植被率,水深,底質等の物理環境条件を計測した.その結果、50の分類群が確認され,各タイプで確認された分類群数は,植生区で最も多く,次いでコンクリート区,淵造成区の順となった.地点ごとの分類群数と植被率の応答を分析した結果,植被率が約8%までは低い値だったが,この閾値を超えると一定して高い値となった.底生動物群集の特性を明らかにするため,除歪対応分析(Detrended Correspondence Analysis,DCA)を行った.地点スコアーによる座標付けでは,調査区で明瞭に構成が異なっており, DCAの各軸と環境要因の相関分析の結果,1軸と水深は正の相関,被植率と負の相関があった.また,種スコアーによる座標付けの結果,各調査区で特有の指標性を持った種群が確認された.本研究の結果より,単調化された三面張り河川でも,水際植生の存在やプールの設置によって,局所的に群集構造が変化することから,都市のコンクリート三面張り河川においても,小規模な水制工や捨て石,凹凸のある基盤コンクリート等を用いた簡易な施工等,小規模な自然再生によって現状よりも種多様性や生物量を増大させる効果が期待できることが示唆された。


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