| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-039J (Poster presentation)

ギャップを伴うブナ-ミズナラ林の落葉落枝量

*岩渕大樹,櫻井悠,竹原明秀(岩手大・人文社会)

ギャップを伴うブナ-ミズナラ林の落葉落枝量の変動を解明するために,盛岡市毛無森(海抜1427m)にある自然性の高い太平洋型ブナ林において,落葉落枝量と林分構造を追跡している。この場所では,2006年10月の大雨と強風によって大木の根返りが発生し,林冠にギャップが形成され,現在も大型のギャップとなっている。本研究では,過去5年間の落葉落枝量データを分析し,さらにギャップによって形成された微地形における温度環境の違いと落葉落枝量の関係性を探っている。

調査地は,毛無森の北向き斜面海抜800~900mに設定した調査区(0.5ha)で,2005年10月17日に69個のリタートラップを設置した。リタートラップは針金と寒冷紗で作製し,受け口の面積0.5㎡のものを使用した。5月から12月に4週間ないし2週間ごとに落下物を回収し,樹種ごとに葉,枝,果実,そのほかに分けた。2006年に調査区を拡大した(0.8ha)。胸高直径2cm以上の幹を対象に毎木調査を行った。また2006年発生ギャップの中心や林床などに温度計を2011年6月11日に設置し,一年を通しての温度環境の変化を記録している。 

現在,ギャップ発生前とその後の落葉落枝量の変化について考察し,これまでどのような変化があったか,また,今後どのように変化していくかを検討している。特に2005年にブナが豊作になって以来,豊作が見られないことから,落葉落枝量にも影響が現れているか,各年の落葉落枝量で比較することで,種子(果実)生産量と落葉落枝量の関係について検討している。


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