| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-270J (Poster presentation)

ハクセンシオマネキ Uca lacteaのオスにおける巣穴防衛行動

*小泉智弘(和歌山大・教),古賀庸憲(和歌山大・教)

資源をめぐる闘争は多くの動物で見られ、一般に体サイズや先住性が勝敗に影響する。シオマネキ類でも巣穴をめぐる闘争で同様の傾向が見られる。しかし、これまでハクセンシオマネキについて研究されたことはなかった。そこで、ハクセンシオマネキのオスの巣穴をめぐる闘争行動を調べた。和歌川河口干潟において2011年の7月から11月に、オスの巣穴所有者と侵入者の闘争を観察した。この結果についてロジスティック回帰分析を行なったところ、27例中19例で巣穴所有者が勝利し、先住効果は有意だった。しかし、体サイズや鉗脚サイズは闘争への影響が有意ではなかった。ただし、まだデータ数が少ないので、さらなる調査が必要である。また、シオマネキ類では再生した鉗脚が闘争行動に影響を及ぼすことが報告されており、今後は再生鉗脚が巣穴防衛の闘争の勝敗に影響するかを調査する予定である。また、観察中、2個体のオス同士が闘争を行っている間に、第3のオスが出現し空になった巣穴を乗っ取る行動が数回観察された。この行動についても観察回数を増やし、本種の闘争行動の実態を解明する予定である。


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