| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-341J (Poster presentation)

北海道の水田地帯に定着した国内外来種トウキョウダルマガエル(Pelophylax porosus)の食性について

*更科 美帆,吉田 剛司(酪農大院・野生動物)

北海道の水田地帯において捕獲した270個体のトウキョウダルマガエル(Pelophylax porosus)から4門7綱15目に及ぶ2,001個体の餌動物が検出された.亜成体,成体ともに餌動物の個体数割合は昆虫綱が約7割を占め,次にクモ綱,腹足綱が上位を占めていた.体積割合では昆虫綱が5割以上を占め,次に腹足綱が高かった.

胃内容の同定の結果,餌動物から3個体のカエル類が検出された.調査地には多くの在来のアマガエル(Hyla japonica)が同所的に生息しており,また調査時にトウキョウダルマガエルによるアマガエルの捕食を目視により確認している.このことからトウキョウダルマガエルは北海道の水田地帯においてアマガエルを含むカエル類を捕食していることが明らかとなった.またイネクビボソハムシ(Oulema oryzae)など数種のイネ害虫やセイヨウオオマルハナバチ(Bombus terrestris)などの外来種も捕食していることが判明した.

北海道には本来カエル類を捕食するカエルは生息していない.そのためトウキョウダルマガエルが地域生態系へ悪影響を与えている可能性がある.一方でトウキョウダルマガエルがセイヨウオオマルハナバチなどの外来種も捕食していることから,地域の在来種への影響だけでなく外来種への影響も検証する必要がある.今後も調査の継続が求められる.


日本生態学会