| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-104J (Poster presentation)

照度条件が琵琶湖の沈水植物群落に与える影響

奥野良太*浜端悦治,滋賀県立大学大学院環境科学研究科環境動態学専攻

現在、琵琶湖では水草が繁茂することによって様々な問題が起こっている。例えば、水草が船のスクリューにからまり運行に支障を起こしたり、岸に打ち寄せられ悪臭を放ったりしている。しかし、水草の生態情報は十分とは言えず、琵琶湖の水草問題解決の対策を立てるまでには至っていない。またその対策を立てるためには水草群落の将来予測をする必要があるが、主要種についても種間関係が明らかになっていない。そこで本研究では水草の種間関係を明らかにすることを目的として、実験水路を用い、光条件・密度条件を変えて競争実験を行なった。

本実験は、センニンモ(Potamogeton maackianus)とクロモ(Hydrilla verticillata)を対象種とした。幅1.5m×長さ4.8m×深さ0.9mの3水路を用い、環境条件として各水路の光条件を、寒冷紗を用いて水深0.8mの場所の相対照度を60%、20%、10%となるように設定した。また2種間での密度条件も3段階に分け、植えつけた(個体数/900cm2比:センニンモ×クロモ:15×15;21×9;9×21個体)。約1ヶ月毎に刈り取りを行い、計4回刈り取りを行なった。刈り取った個体は、シュート長や乾燥重量などを測定した。なおクロモは塊茎起源の苗を、センニンモは地下茎の先端部を用いた。

結果として、相対照度60%区のセンニンモは、2回目から3回目または4回目の刈り取りにかけて乾燥重量が少し減っている傾向が見られた。しかし、クロモがセンニンモを被圧しているとは判断できなかった。この結果、琵琶湖北湖で近年みられている優占種のセンニンモからクロモへの交代については2種間での競争が直接的な原因ではない可能性が高いと考えられた。


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