| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-311J (Poster presentation)

ミクロネシア連邦ポンペイ島におけるフタバナヒルギ丸太の分解

*平出政和(森林総研), 小野賢二(森林総研東北), 藤本潔(南山大), 平田泰雅(森林総研), 田淵隆一(国際農研), Saimon Lihpai(Pohnpei State Government)

大気中の二酸化炭素濃度と地球温暖化との関係から森林の炭素吸収能は着目されているが、炭素吸収能を評価するためには蓄積量だけでなく放出量の評価も必要である。マングローブ林はその特異な立地環境から多くの報告が為されているが、放出量に関しては易分解性の落葉等に関する報告はあるものの、難分解性の倒木等に関する研究はあまり行われていない。そこで、本研究ではミクロネシア連邦ポンペイ島の珊瑚礁上に発達したマングローブ林における木材の分解量について検討を行った。同島の東に設定した1haの試験区にて1994年より2010年にかけて行った毎木調査から同試験区は主としてフタバナヒルギ(Rhizophora apiculata)、マヤプシキ(Sonneratia alba)およびオヒルギ(Bruguiera gymnorrhiza)の3種により構成されており、優占樹種はフタバナヒルギ(約8割)であることが明らかとなった。そのため、フタバナヒルギに着目し、その枯死木の胸高直径を1cm毎に階層化し、胸高直径とその本数との関係について解析したところ、両者の間には直径16cmを頂点としたガウス分布が認められた。得られたガウス分布より算出した枯死木数は15 本/年であり、また枯死木量は約1.5 t/年であった。一般に枯死木量とその分解量は平衡状態になることから、同試験区におけるフタバナヒルギの分解量もまた約1.5 t/年になると推測される。一方、同試験区にてフタバナヒルギの丸太を用い、2003年から2010年にかけて分解試験を行ったところ、重量減少率(%)と経過年数との間にはy = 100 (1-e-0.094x)(r = 1.00)の関係が得られた。この関係式より得られた半減期は約7年であった。


日本生態学会