| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-HS17J (Poster presentation)

土ダニから見た都市化

山川芳樹, 小幡士郎 (北海道旭川農業高等学校)

都市は人間にとっての便利さを優先して発展してきた。そのため、在来種が減少したり、絶滅したりして生物多様性が失われ、問題となっている。とりわけ、人工建造物上は生物にとって過酷な環境である。ところが、ビルの屋上や道路の隅などにコケが生えていることは珍しくない。そして、これらのコケの中に多様な土壌動物が生息している。

本研究はコケに生息する土壌動物のうち、ササラダニ類の生息状況から都市化が生物に与える影響を探ろうとするものである。

旭川市近郊の天然林・二次林・都市緑地・農耕地・都市人工建造物上の各環境から得られたコケに生息するササラダニ類を調べた結果、都市化に伴って、その多様性は減少した。一方で都市にしか見られない種がいた。

また、本校の校舎屋上のコケに生息するササラダニ類について調べた結果、年間を通じて最も優占したのはクワガタダニだった。そこで、校舎屋上におけるクワガタダニの生息状況とその特性を調べた。その結果、夏期に生息密度が減少すること、日陰のコケで生息密度が高いこと、生存限界温度が40~45℃にあることが判った。これらから、屋上におけるクワガタダニの生息限定要因として日射による床面の高温が示唆された。


日本生態学会