| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(口頭発表) D1-06 (Oral presentation)

都会のヒキガエルに何が起きたか−Population Admixture in Urban Toads−

*長谷和子(東大院・広域システム),二河成男(放大・教養),嶋田正和(東大院・広域システム)

東京都内には自然分布であるアズマヒキガエル(Bufo japonicus formosus)と100年以上前に人為的に移入されたと思われるニホンヒキガエル(B. japonicus japonicus)の2系統の日本産ヒキガエルが混在している。このような進化的起源を共有する2つ以上の系統が2次的に接触する事により形成された混成個体群(population admixture)では、系統間での交雑を介して個体群内での遺伝的多様性が増強され、局所適応を促進するなど短期間での新規形質の獲得を可能にする事が知られている。

本発表では、人為的2次接触により都内のヒキガエル混成個体群にどのような変化がもたらされたのか、mtDNAとマイクロサテライトを用いた遺伝子頻度の解析(交雑による遺伝的撹乱)と幼生の生存率を比較した実験結果とを用いて、都内の混成個体群では幼生の生存率が高い移入系統の遺伝子型へ置き換わりが進んでいる現状を報告する。また、繁殖行動についても、特に都内の小さな池に高密度で繁殖を行う混成個体群において抱接雄以外からの受精(extra-pair fertilization)が頻繁に起こっていることも報告する。

現在地球上で人為的影響に晒されていない原初の地域は殆ど残っておらず、都市における人間の活動が及ぼす環境への影響は、既に地球レベルの問題となっている。世界人口の半数以上が集中するとされる都市における進化生態学は、人間と野生種との共存可能性を探る事に繋がり、今後重要さは増していくと考えられる。発表では、研究報告と合わせて都市生態学の今後の展望についても語りたい。


日本生態学会