| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(口頭発表) F2-20 (Oral presentation)

東アジアの暖温帯落葉広葉樹林の新たな群落分類体系

*大野啓一(元横国大)・宋 鍾碩(韓国安東大)

吉良(1949)が提唱した暖温帯落葉広葉樹林帯は照葉樹林帯と冷温帯落葉広葉樹林帯の推移帯に位置し,温かさの指数は85℃・月以上あるが寒さの指数は-10℃・月以下にあるため常緑広葉樹が生育できない領域とされている.この森林帯に分布するコナラやアベマキを主体とした森林植生はこれまでの群落分類体系ではブナクラス,コナラ-ミズナラオーダーのイヌシデ-コナラ群団に位置づけられていた.朝鮮半島には対応する森林帯として暖温帯落葉広葉樹林帯南部と同北部(Yim & Kira 1975)があり,そこに分布するモンゴリナラ,アベマキ,コナラを主体とした森林植生は,極東ロシアを含めた群落分類体系ではモンゴリナラクラス,トウハウチワカエデ-モンゴリナラオーダーのダンコウバイ-モンゴリナラ群団にまとめられている.最新の群落分類体系では日本のブナクラスに所属するコナラ-ミズナラオーダーとサワシバ-ミズナラ群団,ミヤマザクラ-ミズナラ群団,イヌシデ-コナラ群団の3群団は上記のモンゴリナラクラスに移されている(Krestov et al. 2006).中国では暖温帯落葉広葉樹林帯に対応する森林植生として揚子江下流域ではファベルコナラ-トウコナラオーダー(Suzuki et al. 2003)が,黄河中下流域ではアベマキクラス,アベマキオーダー(Tang 2010)が報告されている.本研究では日本のブナクラス,韓国のモンゴリナラクラス,中国のアベマキクラスの種組成を比較し,暖温帯落葉広葉樹林帯に分布するナラ類を主体とした森林植生の群落分類体系を見直した.さらに,東アジアの暖温帯落葉広葉樹林に関し新たな群落分類体系の構築を試みた.


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