| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-016 (Poster presentation)

蛇紋岩地・黄柳野における樹木群集と環境要因との関係

*樋口恵吾,渡辺洋一,岡田知也,中川弥智子(名大院生命農)

蛇紋岩はNiやMgを多く含む超塩基性岩で、その土壌は貧栄養となり低木群集が成立することが知られている。愛知県新城市の黄柳野地方にも蛇紋岩が点在しているが、その植生は蛇紋岩地に多く生育するツゲやジングウツツジの他に、海辺に多いウバメガシや暖温帯二次林で見られるようなサカキ、ソヨゴなどが狭い空間内に偏在しており、特異な樹木群集が見られる。そこで本研究では、特に土壌水分や養分といった土壌環境や光環境に注目し、樹木の空間分布を決定する要因を明らかにするために、毎木調査と環境調査を行った。

2011年8-9月に150m×200mのプロット内に、幅5mのトランセクト4×5本を50m間隔で格子状に設置し、トランセクト内で10mおきに5m×5mのコドラートを設けた(合計128個、3200m2)。毎木調査では、胸高直径(DBH)1cm以上の樹木を対象とし、DBH、樹種を記録した。また、各コドラート内に2m×2mの調査区を設置し、その中に生育する樹高30cm以上の樹木(稚樹)を対象とした毎木調査も行った。環境調査では、コドラート内において、光、土壌含水率および被植率を測定した。また、同じ範囲内においてリターと土壌を採取し、リターの乾重と土壌中の礫比率の測定、土壌の化学分析を実施した。

コドラートからは、合計3872幹、3198個体を含む、32科46属56種の樹木が出現した。幹数でみると、ツゲが全体の29.3%、ウバメガシが10.8%とこの2種で全体の4割を占めており、ツゲとウバメガシの密度が高い森林であることが明らかとなった。本発表では、樹木群集の分布パターンと光、土壌養分、リター量といった環境要因との関係を調べることで、樹木分布を決定する要因について検討する。


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